hunting狩猟とは(第二十話)
核心と確信に導かれ(下)

野獣の寝屋と思しき 尾根の松が

杉木立の間から窺える そぅあの

岩盤上に立ち 転がり落ち出せば

僅か10mも行くと奈落の底へと

一気に向かう しかしこの鬱蒼とした

トンネルの中に跳び込んで来ると

したら10数m先 あの椿のゲートを

潜りその姿を現し 引き金絞るまでの

要する時間はコンマ何秒? 其の間

奴は大股で跳び接近するとして射撃

出来るのは10mばかりのあの位置?

森の内部は何処もこんな感じで

其の1撃で止めることが出来なければ 2の矢は5mないし4m先に横たわる倒木を跳び越える

瞬間か 超えてしまえば其の侭の勢いで自分との衝突は避けきれない そうなれば此方も

無事には済まないだろう まぁぐだぐだ考えてみても始らない覚悟を決め獣道上に座り込んだ

その時 訪れる瞬間に備えるために。

犬のマイク兼マーカーからは先導犬の起こし鳴きが途切れ途切れに聞こえてくる 遥か向こう

発砲音さえ届かないかもしれない包囲網からの報告は無い 何時か追い鳴きも止んでしまった

もうどれ位経つか?腕時計に視線を

落とす 既に1時間30分程経過した

打ち合わせ通りのルートを間違いなく

辿ってるとすれば さっきから視線の

先に捉えてる あの尾根の頂にある

松の木辺りで 起こし鳴きが入る筈

犬のマーカーが次第に大きく成ると

其の位地に接近して来たのを表す

おっ!鳴いた 其れも山中割れよと

ばかりの激しい起こし。。其れは直ぐ

追い鳴きへと変化し此方へ向かった

真ん中の急な斜面での遣り取り(裏画像付き)

バキバキと枯れ枝を踏みしめる音に 不意を突かれ慌てふためく野獣の姿が想像出来る

この後数秒後に起きる命のやり取り 其の舞台の幕開けは直ぐ其処にと迫り来る

一瞬体中の血液が逆流するかに沸き立ち心臓はバクバク言い出す 緊張が走った

が其れも僅か瞬間の事で 静かに佇まいの一部と同化し其の瞬間を待つ さぁ来い!

ちらりと藪トンネル外に一瞬白いものが垣間見えた きっと鹿の尻部分だったのだろう

もう直ぐ 音も無く銃は上げられ無意識のうちに姿を現すゲートへと銃口は向け据えられた

全ては1秒も無いコンマ何秒の勝負となるだろう   バシッ! 淀んだ空気を切り裂くような

衝撃波を残し黒塊は跳び込んで来た 一瞬相手と私の視線が絡み合ったそんな気がした

其の刹那引き金は絞られ放たれた弾丸は奴の前肩に吸い込まれて行く しかし奴は止まらない

其の侭の勢いで 有ろう事か頭部を下げ角を翳し突っ込んでくる  目前に横たわる倒木を

跳び越えんとした瞬間 2の矢が放たれ右手下に向きを替え 倒木に寄り添う形で動かなく

なった  ふぅ際どい勝負だった。。 暫し其の侭の体勢で動けなかった

                                                 oozeki